三島湧水観察ノート -三島の水の「いま」を読み解く

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「入門編」は小浜池の水位と御殿場の雨だけに絞ったバージョンです。
(リンク先が変更になる可能性があるのでブックマークは本ページがおすすめです。)


静岡県三島市の名所・楽寿園にある小浜池は、富士山などからの地下水が湧き出て水位が季節によって変動する、三島を象徴するスポットです。「今年は小浜池に水があるかな?」という関心を持つ方も多いのではないでしょうか。

株式会社みてしるでは、三島市が公開している地下水位データと気象庁の降水量データをもとに、小浜池の水位変化を誰でもグラフで見られるダッシュボードを作成・公開しました。グラフで見ることで、時間経過とともに変わる傾向などが見えてくるかもしれません。本サイトは仕事でなく、考察も含めて趣味で作っているものですので、参考情報として公開しています。利用にあたってはご自身の判断でご活用ください。


伊豆半島ジオパーク webサイトより

このダッシュボードで見ていること

このダッシュボードでは、三島市の小浜池の水位と、上流側にある伊豆島田浄水場の地下水位、さらに三島・御殿場の雨量をまとめてグラフで見ることができます。
雨が降ったあとに地下水位がどう変わるか、小浜池が今どのような状態にあるか、ふだんと比べて何か違いが起きていないかを考えるための材料を並べています。

小浜池と伊豆島田は、大きく見れば地下水を通じてつながっていると考えられますが、まったく同じように動くわけではありません。特に小浜池では、水位が0 m(池の底)を境に、水位の上がり方や動き方が変わるように見えます(参考)。
このダッシュボードでは、その違いもふまえてグラフを作っています。

なお、「入門編」のグラフの解説は、グラフの中に書いてありますので、そちらを参照してください。


グラフの見方

1-1. 降水量 + 年累積雨量

このグラフは、三島と御殿場でどれだけ雨が降ったかを示しています。日々の雨量(下向き棒グラフ)と、毎年1月1日からの雨量の合計(ぎざぎざの折れ線グラフ)の両方を表示しています。各年の12月31日時点の累積雨量を見ると、その年にどれくらいの雨が降ったのかわかります。
使っているデータは気象庁のアメダス観測所のデータです。御殿場の観測所は、小浜池や伊豆島田浄水場の上流にあり、三島観測所は下流側にあります。
地下水や池の水位は、雨の影響を受けて変わるので、まずは雨の多い時期や大雨のあとを確認するために使います。

地下水位は、雨が降ったその日にすぐ大きく変わるとは限りません。
雨が地面にしみこんで地下水として動き、それが小浜池や伊豆島田の観測に現れるまでには時間がかかることがあります。
そのため、このグラフは「水位が変わった理由を考える手がかり」として見るのが基本です。

ページ上部の「表示期間」を変更することで、最近1年・5年・10年だけ見たり、指定した期間を拡大して見ることができます。

1-2. 地下水位

このグラフは、小浜池の水位(青線)伊豆島田浄水場の地下水位(オレンジ線)を時系列で並べて見たものです。
2つの線の動きが似ていれば、両者がよく連動していることを意味します。基本的には両者は同じような感じに動いているように見えますね。

ただし、小浜池は池であり、伊豆島田は地下水の観測なので、同じだけの雨が降っても、いつもまったく同じ形で動くわけではありません。
伊豆島田の方が先に動き、小浜池が少し遅れて動くように見えることもあります。また、小浜池は水位が高くなると、同じだけ水が増えても上がり方が小さくなることがあります。小浜池の水位観測の上限は2.17m(217cm)です。これ以上水位が上がっても測ることができないそうです。

このグラフでは、まず全体として

  • 雨の多い時期に地下水位が上がっているか
  • 小浜池と伊豆島田が似たタイミングで上下しているか
  • 最近は水位が増えているのか、減っているのか
  • 年によって高い年・低い年があるか

を見るのがいいと思います。地下水位も1-1のグラフと同様「表示期間」を変更できます。

2-1. 小浜池 年別水位変化パターン

このグラフは、年ごとの小浜池の季節変化を重ねて見たものです。
どの年も1月から12月までを同じ横軸にして並べているので、季節ごとの特徴を比べやすくなっています。

たとえば、

  • どの季節に水位が高くなりやすいか
  • 今年は平年より高めか低めか
  • いつもの年と少し違う動きをしていないか

を見やすくしています。

最近の年が赤く強調されているので、今年の動きが過去(グレーの線)と比べてどうかを見るのに便利です。小浜池は夏ごろに高くなることが多く、その年の雨の多さによってピークの高さが変わります。グレーの線にマウスを当てると、その線が何年のデータかを確認できます。

2-2. 伊豆島田 年別水位変化パターン

これは小浜池と同じように、伊豆島田の地下水位の季節変化を年ごとに重ねたグラフです。
小浜池だけではわかりにくい変化も、上流側の伊豆島田を見ることで、地下水系全体の変動なのか、小浜池の局所的な変化なのかを考えやすくなります。

たとえば、小浜池だけが低いのか、それとも伊豆島田も含めて全体に低いのか、という見方ができます。こうした比較は、何か変化があったかどうかを疑うときにとても大切です。グレーの線にマウスを当てると年を確認できます(2-1と同様)。


– ここから先はちょっとマニアックなグラフです –

3-1. 小浜池水位 vs 伊豆島田水位 XYプロット

時間の流れを横軸に取るのではなく、横軸に伊豆島田浄水場の水位、縦軸に小浜池の水位を取って、2つの関係を直接見たものです。点がきれいに並んでいれば、2つの水位はよく連動していることを意味します。

このグラフでは、小浜池の水位が 0 m を境に、点の並び方が変わるのが特徴です。これは、小浜池の水位が 0 m より低いときは池の底より下にある地下の水を見ており、0 m 以上になると池の水面(水深)を見ているためだと考えられます。地下の水を見ているときは、同じだけ上流側の水位が上がっても小浜池の水位は大きく動きやすくなります。一方、池の水面になってからは、同じだけ水が増えても水面全体に広がるため、水位はそれほど大きくは上がりません。

このグラフでは、

  • 点がふだんの並びから外れていないか
  • 最近の点だけ違う場所に集まっていないか

を見ることができます。「色分け期間」に年月日を入れると、特定の期間の点だけ色を変えて表示することもできます。

3-2. 小浜池 実測値 − 予測値(残差)

3-1のグラフで、伊豆島田の水位と小浜池の水位はとてもよく関係していることがわかりました。つまり、伊豆島田の水位がわかれば、小浜池の水位をある程度予測することができるのです。このグラフは、伊豆島田の水位から予測される小浜池の水位を計算し、その予測値と実際に観測された小浜池の水位との差(残差)を示したものです。

残差 = 実測値 − 予測値

です。

・残差が 0 に近ければ、伊豆島田の水位から見て小浜池はだいたい予想どおりです。
・残差がプラスなら、実際の小浜池は予測より高めです。
・残差がマイナスなら、実際の小浜池は予測より低めです。

このグラフは、「小浜池の水位が高いか低いか」だけでなく、伊豆島田との関係から見て高いか低いかを知るためのものです。
そのため、小浜池の水位だけを見ているよりも、地下水系の中での位置づけがわかりやすくなります。

オレンジ色の線は「90日移動平均」の線です。細かな日々のばらつきをならして、動きの傾向を見やすくするためのものです。これが長くマイナス側に寄ると、上流側の伊豆島田の水位から予想される水位に比べて小浜池が低めに出ている状態が続いている可能性があります。逆に、プラス側に寄っているときは、伊豆島田の水位から予測されるよりも小浜池の水位が高くなっているということです。

4-1. 7日間変化量 XYプロット

水位そのものではなく、1週間でどれだけ水位が増えたか・減ったかを比べたものです。横軸は伊豆島田の7日間変化量、縦軸は小浜池の7日間変化量です。たとえば右上に点があれば、その1週間で両方とも水位が上がっています。

このグラフのよいところは、「今の水位が高いか低いか」ではなく、最近の反応の速さや大きさを見ることができる点です。

グラフ上では、点が2色に自動的に色分けされています。青い点は小浜池の水位が 0 m より低い状態から始まった1週間、オレンジの点は 0 m 以上の状態から始まった1週間を表しています。

ここでも小浜池の状態によって関係が変わります。青い点(0 m 未満)では、伊豆島田の変化に対して小浜池も比較的大きく動きます。一方、オレンジの点(0 m 以上)では、同じだけ伊豆島田が変化しても、小浜池の変化は小さめになります。

つまりこのグラフは、小浜池がどれくらい敏感に反応しているかを見るグラフです。

4-2. 7日間変化量残差(実測 − 予測)

伊豆島田の1週間の変化量から「小浜池なら1週間でこのくらい変わるはず」と見積もった値を作り、その予測と実際の差を示したものです。

残差 = 実測の7日間変化量 − 予測された7日間変化量

・残差が 0 に近ければ、最近の小浜池の反応はふだんどおりです。
・マイナスなら、伊豆島田の水位変化速度に比べて小浜池の反応が鈍いことを意味します。
・プラスなら、予想より大きく反応していることを意味します。

3-2と同様に、90日移動平均の線も表示できます(グラフ右上のチェックボックスで切り替え)。移動平均を見ると、短期的なばらつきを除いた反応の傾向がつかみやすくなります。
もしマイナスが長く続けば、上流側は変化しているのに小浜池はあまり動いていない、ということになります。3-2の残差グラフとあわせて見ると、

  • 小浜池そのものが伊豆島田に比べて高いか低いか(3-2グラフ)
  • 小浜池の反応が伊豆島田に比べて速いか遅いか(4-2グラフ)

を分けて考えることができます。


小浜池の水位 0 m を境に何が変わるのか

小浜池では、水位が 0 m より低いときと、0 m 以上のときで、水位の上がり方が変わります。小浜池における「水位0m」はおおよそ池の底に当たります。つまり、0 m より低いときは池の底より下にある地下の水を見ていて、0 m 以上になると池の水面そのものを見ているということになります。

地下では、水は土や岩のすき間に入っています。このようなすき間の中では、同じだけ水が増えると水位が大きく動きやすくなります。一方、池になると、水は広い水面にたまるので、同じだけ水が増えても水位はそれほど大きくは上がりません

実際に、伊豆島田の地下水位が 1 m 上がったとき、小浜池の水位は、

  • 小浜池の水位が0 m 未満では約 0.84 m 上がる
  • 小浜池の水位が0 m 以上では約 0.25 m しか上がらない

という違いがありました。
このことから、小浜池では、水位 0 m を境に、水のたまり方や動き方が変わっていると考えられます。

もう少し詳しく・・・

「3-1. 小浜池水位 vs 伊豆島田水位 XYプロット」などで小浜池と伊豆島田の水位関係を見ると、小浜池の水位 0 m を境に応答傾向が明瞭に変化します。
回帰の傾きは、小浜池 0 m 未満で約 0.84 m/m、0 m 以上 2.17 m 未満で約 0.25 m/m であり、0 m を超えると伊豆島田に対する小浜池の応答感度が大きく低下します。

この差は、観測対象の物理的意味が 0 m を境に変わるためと解釈できます。
0 m 未満では池底下の地下水位を見ており、帯水層内の有効空隙に対する貯留変化が水位変化として現れます。
一方、0 m 以上では池の自由水面を観測しており、地下水流動に加えて、池としての貯留断面、水面積の変化、流出・浸透などの影響を受けるため、水位応答は鈍くなります。

また、この2つの傾きの比
0.25 / 0.84 ≈ 0.30
は、地下部の有効貯留率あるいは見かけの有効間隙率に相当する量として読むこともできます。
もちろんこれは厳密な間隙率そのものではなく、池の形状変化や流出条件を含んだ見かけの値です。それでも、地下の有効空隙率のオーダーを示す概算値としては興味深いものです。


このダッシュボードを見るときの注意

このダッシュボードは、小浜池と伊豆島田水位から三島の地下水を考えるための手がかりを示すものです。あくまで、公開データをもとにした非公式の解析です。
グラフのずれや残差は、すぐに異常や原因を意味するわけではありません。
雨の降り方、季節変化、観測のばらつき、小浜池の状態の違い、地下水の利用状況などでも見え方は変わります。

したがって、ある1日の値だけで判断するのではなく、

  • しばらく続く傾向かどうか
  • 雨や季節の影響と合っているか
  • 水位そのものと変化量の両方で同じ傾向が出ているか

をあわせて見ることが大切です。自然は時にとても複雑な動きをしますし、三島のような街中の湧水では、人為的な影響も考えられます。

また、小浜池と伊豆島田の水位変化の関係などに関する予測式や考察は、データから見た暫定的なもので、今後修正する可能性があります。ぜひこれらのグラフを見て、三島の地下水がどのようになっているのか、ご自分でも考えてみてください!


※ データは過去7日分までさかのぼって最新のデータを取得しています。そのため、7日前までなら、データが修正されていてもグラフに正しい数値が入るようになっています。一方7日以上経過してからデータが修正された場合、このダッシュボードには修正された数値が反映されません。もしデータの間違いなどにお気づきの方がいらっしゃいましたら、「お問合せ」からご一報ください。

左:観測地点の地図
上:伊豆島田浄水場~小浜池の地形断面図

日照シミュレーター「陽だまりマップ SUNSCAPE」

1.このアプリは何?

「陽だまりマップ -SUNSCAPE-」は、ブラウザ上で動作する日照・陰影シミュレーターです。

一般的な日の出・日没時刻は「平坦な地平線」を基準に計算されますが、実際の私たちの生活環境には山や起伏があります。本アプリは、産業技術総合研究所の標高タイル(DEM)を活用し、「周囲の山々に遮られることなく、実際に太陽が顔を出す(隠れる)のは何時か?」という実質的な日当たりを、地図上で視覚的にシミュレーションすることができます。

2.アプリでできること

  • リアルタイムな陰影シミュレーション 指定した日時における太陽の位置を計算し、地形が作り出す「影」の広がりを地図上に描画します。
  • 実質的な「日の出・日没時刻」の算出 地図の中心地点から周囲最大80kmの地形をスキャンし、遠くの山影などを考慮した正確な日の出・日没時刻を割り出します。(※地球の丸みによる地平線の沈み込みも考慮しています)
  • 月別・年間日照時間のグラフ化 その場所で1年間にどれくらいの日照が得られるかを高速シミュレーションし、月ごとの日照時間をグラフで確認できます。
  • 太陽方位の可視化 地図中心から太陽の方向へ伸びる赤い方位線を表示し、直感的な方角の把握を助けます。
2026年1月1日6:59に富士山に直射日光が当たる範囲
年間日照時間時間の計算と月別日照時間グラフの表示

3.使い方

本アプリは、PCのブラウザでのご利用を推奨しています。(ズームレベル11以上で計算が有効になります)

  1. 場所を決める:地図を動かして、調べたい場所を画面の中心(十字マーク)に合わせます。
  2. 日時を指定する:左上のパネルから、シミュレーションしたい日時(JST)を入力します。
  3. 日の出・日没に合わせる:「日の出に合わせる」「日没に合わせる」ボタンを押すと、その場所の地形を考慮した時刻に自動でジャンプし、影の様子を確認できます。
  4. 日の出・日没の定義を変える:初期状態では、太陽の中心が地平線(水平線)から出た時点を日の出と定義していますが、太陽の上端が水平線(地平線)から出た時点を日の出と定義して計算することもできます。
  5. 表示を調整する:「陰影」や「日照」のスライダーを動かして、地図上の影の濃さを見やすく調整できます。
  6. 年間日照を調べる:パネル下部の「グラフを計算・更新」ボタンを押すと、中心地点の年間日照時間の累計と月別グラフが表示されます。

※日照エリアの計算にはお手持ちのブラウザの機能を使って実行しています。計算には数秒~数10秒かかります。計算中は画面左側のコントロールパネル上部に「地図更新中」と表示されます。

日の出/日没の定義

4.利用上の注意・免責事項等

本アプリをご利用の際は、以下の点にご留意ください。

  • 本アプリの解析結果は、ブラウザ上で実行される簡易的な計算アルゴリズムに基づくものであり、正確性、完全性、妥当性を保証するものではありません。
  • 日照時間の計算結果には、計算上の丸めや大気差の変動などにより、年間で数十時間程度の誤差が生じると思われます。
  • 本アプリの解析結果は、実地調査や詳細な設計・解析の代わりとなるものではありません。設計、施工等の重要な意思決定には、必ず専門家による適切な調査を行ってください。
  • 本アプリは地形の遮蔽判定など高度な計算処理をブラウザ上で行うため、ご利用の端末のスペック(CPU性能等)によっては、動作が遅くなる、または停止する場合があります。
  • 高負荷時には、外部データ配信元への負荷軽減および本サービスの安定運用のため、一部機能の制限、更新頻度の低下、または提供停止を行う場合があります。
  • 本アプリの利用により利用者または第三者に生じた損害について、株式会社みてしるは一切の責任を負いません。

【外部データについて】 本アプリは以下の外部データを利用しています。これらのデータに由来する部分の利用にあたっては、各提供元の利用規約および出典表示条件が優先して適用されます。

「水の道」を可視化するWebアプリ Flow Accumulation Realtime Renderer

「もし、地面にまんべんなく雨が降ったら、水はどこを通ってどこに集まるのか?」
このアプリは、国土地理院や産業技術総合研究所が公開している精密な標高データ(DEM)を使い、その場所の地形に基づいて「どこに、どのように水が集まるポテンシャルがあるか」を可視化するブラウザアプリです。

累積流量(Flow Accumulation のつくりかた)

従来の地図では描かれないような小さな谷筋や、住宅街の中のわずかな窪みを通る水の流れが、鮮やかな色彩で浮かび上がります。地形の起伏を強調する「陰影図」と重ねることで、大地の骨格と水のダイナミックな関係を探索できます。

地形図を読むのはトレーニングが必要ですが、地形を見る専門家が頭の中で考えていることの一部を「見て」「知る」ためのアプリです。

なぜ「水の集まり方」を知る必要があるのか? 水の流れ方は、がけ崩れ土石流といった土砂災害の発生場所に深く関わっています。もし、あなたのご自宅や職場の近くに「崖」や「谷の出口」がある場合、このアプリで「上流からどのように水が流れ落ちてくるのか」を大まかに把握しておくことは、避難計画やリスク管理の第一歩となります。もちろん、実際の危険性は地質・人工改変・排水状況・降雨条件・地下水などでも大きく変わりますので、この水の流れだけで危険箇所がわかるわけではないことには注意が必要です。あくまで一つの参考です。

防災教育や地形判読の研究、実務の補助ツールとしてはもちろん、何より「自分の足元の地形」に関心を持ち、防災を考えるきっかけにしていただきたいと考えています。

アプリの使い方

まずはアプリを開きます → Flow Accumulation Realtime Renderer

※予告なくURLを変更する場合がありますので、ブックマークは本ページにしてください。

ステップ①:場所を探す

地図をドラッグしたりズームしたりして、調べたい場所を表示してください。最初は負荷を抑えるため、地形を立体的に見せる「陰影図」のみが表示されます。

  • 対応エリア: 「標高タイルソース」を切り替えることで、計算できるエリアを切り替えられます。

ステップ②:計算を実行する

画面左側のコントロールパネルにある「累積流量の計算を実行する」にチェックを入れてください。

  • 数秒〜十数秒(PCの性能によります)待つと、標高データから計算された水の流れやすい場所が色で表示されます。
  • ポイント: 広い範囲を表示しすぎると計算に時間がかかるため、まずは市町村レベルまでズームしてから実行するのがおすすめです。
  • コツ: 地図を移動させたりズームしたりするときには「累積流量の計算を実行する」のチェックを外すことをお勧めします。チェックが入っていると、地図を動かすたびに計算が走ります。

ステップ③:集水域を抽出します

画面左側のコントロールパネルにある**「集水域抽出モード」**にチェックを入れて、水系の一部をクリックすると、その地点を起点とする集水域(その地点に向かって水が集まってくる範囲)とその面積を表示します。なお、このアプリでは、画面に表示されている範囲の標高データから水の流れ方を計算していますので、集水域の広さに対して標高データが不足していることがあります。その場合は「面積 + α」という表記になりますので、注意してください。

なお表示している集水域はGeoJSON形式でダウンロードできますので、GISソフトなどで再利用可能です。


各種設定の見方・調整

■ 累積流量(水の道)の設定

  • ログ伸長(感度):
    パレットの色調整をします。スライダーを右に動かすと、より累積流量の小さな水系にも色が付くようになります。
  • 上位表示(%):
    水が集まる量が多い順に、上位何%を表示するかを指定します。数値を小さくすると「大きな川」だけが残り、大きくすると「網の目のような細流」まで表示されます。
  • パレット:
    流れる水の量に応じた色の変化(水色〜濃い青など)を変更できます。

■ 地形(陰影図)の設定

  • 陰影図を表示:
    地形の凹凸を光と影で表現します。チェックを外すと、背景地図が見やすくなります。
  • 不透明度:
    背景の地図(標準地図や写真)をどれくらい透かすかを調整できます。

■ 標高データの設定

  • 標高タイルソースの切り替え:
    現在は、産業技術総合研究所のシームレス標高タイルから、静岡県・神奈川県・東京都の詳細データと、陸域全体のデータを読み込めるようにしています。「陸域全体のデータ(陸域統合DEM)」は地域によってDEMの解像度が異なりますのでご注意ください。
  • 水系の計算に利用するメッシュサイズ:
    計算に使うメッシュサイズ(DEMの解像度)は地図のズームレベルに応じて変化します。画面左側コントロールパネル上部にメッシュサイズが表示されていますので参照してください。

■ 背景地図の切り替え

  • 標準地図: 道路や建物などの位置関係を確認するのに便利です。
  • 空中写真: 実際の木々の茂り方や土地利用と、水の流れを照らし合わせることができます。
  • OpenStreetMap:海外を含む広い地域で利用できる背景地図です。「陸域統合DEM」は海外にも(解像度は荒いものの)標高データがありますので、これとの組み合わせで海外の水系も可視化できます。

活用シーンのヒント

  • 土砂災害警戒区域とみくらべる:
    崖崩れや土石流の発生が想定されている場所と水の流れ方を見比べてみると、一つの区域の中でも水の流れ方が異なることがあるとわかります。
  • 地形の学習:
    尾根と谷、扇状地、段丘など、地形の成り立ちと水の流れの関係を一目で理解する教材として活用できます。
  • 古地図や地名との照合:
    「さんずい」のつく地名や古い地名がある場所と、計算された水の集まりやすい場所を重ねてみましょう。意外な発見があるかもしれません。

アプリの使用上の留意点

このアプリは、地形データの形状のみに基づく簡易解析です。
身近な防災や地形理解のきっかけとして役立つ一方で、実際の現象をそのまま再現するものではありません。

  • 地形形状だけを見ています:
    この解析では、地面への浸透、蒸発、地表面の粗さ、土地利用の違いなどは考慮していません。あくまで「地形のかたちに従うと、水はどこへ流れやすいか」を見ているものです。
  • 建物や植生、地下構造は反映していません:
    使用している標高データでは、建物や樹木などが除去されている場合があります。
    そのため、現地では建物があって水が通れない場所でも、解析上は水が流れる結果になることがあります。また、暗渠、雨水排水管、トンネルなどの地下構造は考慮されません。
  • 道路や橋などの影響で不自然な結果が出ることがあります:
    道路の盛り土や橋、標高データの表現方法によっては、水の流れが不自然に遮られたり、実際とは異なる方向に導かれたりすることがあります。これは地形データに由来するアーティファクトです。
  • 氾濫や浸水の再現ではありません:
    このアプリは、河川の氾濫や浸水深、水位変化を再現するものではありません。
    「一定の雨が降り続いたときに、地形的にどこへ水が集まりやすいか」を示す、地形ベースの可視化です。
  • 危険箇所を自動判定するアプリではありません:
    このアプリは、災害の危険性を直接判定するものではありません
    実際の災害リスクは、地質、表層土、植生、人工改変、排水状況、降雨条件、過去の履歴など、さまざまな要因によって変わります。このアプリは地形形状のみから、水の流れやすさを可視化するものです。
  • 重要な判断には、専門的な調査が必要です:
    本アプリの結果は、現地調査、測量、設計、ハザード評価などの代わりになるものではありません。防災、土地利用、設計、施工等の重要な判断にあたっては、必ず専門家による調査・検討を行ってください。
  • ハザード情報は公式情報をご確認ください:
    重ね合わせ表示される土砂災害警戒区域などの情報は参考表示です。
    最新かつ正式な情報については、各自治体や公的機関が公表するハザードマップをご確認ください。

もっと詳しく知りたい場合はご相談ください

このアプリは、地形の専門家が「地形判読」を行い危険箇所などを考える際に頭の中で描いているプロセスの一部を可視化したものです。しかし、実際の自然災害リスクを評価するには、微地形の読み取り、現地での土質・地質調査、過去の文献調査などが欠かせません。

株式会社みてしるでは、地形データや各種オープンデータの解析、ドローンやSLAM(携帯型のレーザースキャナ)等を用いた計測、文献調査・現地調査、地形判読などを通じて、自然災害リスクの把握や地域の地形理解に関する業務を行っています。

「自宅の近くの斜面や谷地形が気になる」
「この場所の災害リスクを、地形や現地状況も含めて見てほしい」
「オープンデータだけでは分からないので、詳しく調べたい」
といった場合は、個別の調査・解析も可能です。お気軽にご相談ください


技術ノート

本アプリは、表示範囲に応じて標高タイルを取得し、ブラウザ上でリアルタイムに地形解析を実行するWebアプリケーションです。Webブラウザの計算リソースをフルに活用し、大規模なグリッド計算をフロントエンドで実行しています。

窪地処理: Priority-Floodアルゴリズムを用いてDEMの窪地(Sink)を埋め立て、すべてのセルから流出口までの経路を確保しています。

地形の窪地埋め処理のイメージ

流向計算: 多方向流アルゴリズム D-infinity (Dinf) を採用しています。従来のD8法に比べ、斜面における水の分散をよりリアルに表現可能です。

DEMから累積流量を求めるまで
累積流量のイメージ

集水域抽出: クリック地点からの逆算には、D8流向を用いた高速な幅優先探索(BFS)を実装しています。


三島市立公園 楽寿園の三次元点群データを市に寄贈しました

みてしるのある三島市には、駅前すぐに楽寿園というステキな公園があります。新幹線駅から徒歩すぐにもかかわらず、約1万年前に富士山から流れてきた溶岩と、その上に広がる森や庭園が広がっています。夏場には湧水が池や瀬を満たします。公園の一部には動物園やミニ遊園地もあり、市民や三島を訪れる方の憩いの場になっています。

みてしるでは、さまざまな解析のために計測機器などを用いて対象物の形状を調べたりします。今回、「LiDAR SLAM」という機材のテストを楽寿園で行わせてもらいました。LiDAR SLAMは手に持ったり背中に背負ったりして歩きながら周囲をレーザスキャナで測定できるものです。巨樹・巨木の計測に使ったりしているのと同じ種類の機材です。

今回のテストでは、比較的広い範囲の計測を行ってみたかったので、せっかく測るならステキでいろいろな形のものがある場所がいいなぁと思い、楽寿園に許可をいただき、機材を背負って園内をうろうろさせていただきました。園内の約75,000㎡の範囲を3回に分けて計測し、後でデータを接合して公園全体の三次元点群データとしました。機材のテストとしてはいろいろ課題もわかりましたが、できた点群データは(ちょっと粗いところもありつつ)ちゃんと使えるものですので、せっかくなので活用していただきたく三島市に寄贈いたしました。

7月23日に市役所で市長にデータをお渡しし、ちょっとした解析結果などを報告しました。

こんな感じのデータです↓

楽寿園三次元点群データの様子は今後紹介する予定です。また、データについては三島市がオープンデータとして公開することを検討してくださっていますので、もし公開されたらみなさん使ってみてください。



大きな地図を表示

巨樹・巨木の姿をみる

静岡県にはたくさんの巨樹・巨木があります。高さ数10mにもなる大きな木がご神木として神社にたたずんでいたり、公園で人々の姿を見つめたりしています。一方で、こうした大きな木もやはり姿を変えています。樹木の健全度を把握したり、落木などの事故を事前に防ぐためにも、木の姿をきちんと記録しておく必要があると思います。

静岡県函南町 天地神社の大楠

写真による記録やメジャーによる計測も大切ですが、大きな木だけあって上の方は測ったりするのが大変です。写真も手前の枝や葉にさえぎられて奥にある枝などは捉えられません。

今回はスタッフの練習もかねて手持ちのレーザースキャナーを使って巨樹・巨木の姿をどの程度とらえることができるか試してみました。スキャンさせていただいたのは静岡県函南町の天地神社にある大楠です。

スキャンに先立ち、スキャンデータを既存の地図ときっちりとあわせるための基準点を作ります。今回はRTK-GNSSで6点くらいの基準点を作りました。基準点が設置できたら手持ちのレーザースキャナーを持って、設置した基準点を順番に回るように歩いて回ります。天地神社の大楠は葉っぱも多く高さもあるため、真下からスキャンしても木の最上部までレーザーが届かなそうでした。そのため、てっぺんを見上げられるよう大楠から離れた場所からも狙いました。

レーザースキャンじたいは20分程度で完了しました。できた点群が↑です。大楠だけでなく神社全体をスキャンし、点群を高さで色分けして表示しました。近くにある2階建ての建物や神社の鳥居のサイズと比べると木々の大きさがわかると思います。

神社の参道に沿って断面を作ってみるとこうなります。大楠の高さは約31mくらいで、大きく枝を広げた立派な姿をしていることがわかります。大楠内部の枝の形状もかなりとらえていますが、樹頂付近はさすがに点群が薄くなっています。この大楠のように樹勢がよく葉が多い場合にはドローンを使ったレーザースキャンも併用して上からも計測した方がいいかもしれません。

樹木の点群データ活用や、巨樹・巨木計測に関してはこれからも続けてみようと考えています。

【追記】天地神社大クスの3DGS映像作りました


天地神社の場所


大きな地図を表示

webサイト立ち上げ中

仕事の合間にぼちぼち作っていきます。

ヘッダー画像(CHM)

このwebサイトのヘッダーに使っているこの画像は、Virtual Shizuokaの点群データから作った「建物や樹木の高さマップ」です。

色塗りだけではちょっとわかりにくいので、DSMの陰影図を背景に敷いてみます。三島市の駅南エリアで、楽寿園や三嶋大社の高い木がたくさんある森や、駅近くや東海道沿いにビルが多い様子がよくわかります。データにひと手間加えて「見える化」することで今まで気が付かなかったことに気が付くことができるようになるかもしれませんね。

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