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静岡県三島市の名所・楽寿園にある小浜池は、富士山などからの地下水が湧き出て水位が季節によって変動する、三島を象徴するスポットです。「今年は小浜池に水があるかな?」という関心を持つ方も多いのではないでしょうか。

株式会社みてしるでは、三島市が公開している地下水位データと気象庁の降水量データをもとに、小浜池の水位変化を誰でもグラフで見られるダッシュボードを作成・公開しました。仕事でなく、考察も含めて趣味で作っているものですので、参考情報として公開しています。利用にあたってはご自身の判断でご活用ください。


伊豆半島ジオパーク webサイトより

このダッシュボードで見ていること

このダッシュボードでは、三島市の小浜池の水位と、上流側にある伊豆島田浄水場の地下水位、さらに三島・御殿場の雨量をまとめてグラフで見ることができます。
雨が降ったあとに地下水位がどう変わるか、小浜池が今どのような状態にあるか、ふだんと比べて何か違いが起きていないかを考えるための材料を並べています。

小浜池と伊豆島田は、大きく見れば地下水を通じてつながっていると考えられますが、まったく同じように動くわけではありません。特に小浜池では、水位が0 m(池の底)を境に、水位の上がり方や動き方が変わるように見えます(参考)。
このダッシュボードでは、その違いもふまえてグラフを作っています。


グラフの見方

1-1. 降水量 + 年累積雨量

このグラフは、三島と御殿場でどれだけ雨が降ったかを示しています。日々の雨量(下向き棒グラフ)と、毎年1月1日からの雨量の合計(ぎざぎざの折れ線グラフ)の両方を表示しています。各年の12月31日時点の累積雨量を見ると、その年にどれくらいの雨が降ったのかわかります。
使っているデータは気象庁のアメダス観測所のデータです。御殿場の観測所は、小浜池や伊豆島田浄水場の上流にあり、三島観測所は下流側にあります。
地下水や池の水位は、雨の影響を受けて変わるので、まずは雨の多い時期や大雨のあとを確認するために使います。

地下水位は、雨が降ったその日にすぐ大きく変わるとは限りません。
雨が地面にしみこんで地下水として動き、それが小浜池や伊豆島田の観測に現れるまでには時間がかかることがあります。
そのため、このグラフは「水位が変わった理由を考える手がかり」として見るのが基本です。

ページ上部の「表示期間」を変更することで、最近1年・5年・10年だけ見たり、指定した期間を拡大して見ることができます。

1-2. 地下水位

このグラフは、小浜池の水位(青線)伊豆島田浄水場の地下水位(オレンジ線)を時系列で並べて見たものです。
2つの線の動きが似ていれば、両者がよく連動していることを意味します。基本的には両者は同じような感じに動いているように見えますね。

ただし、小浜池は池であり、伊豆島田は地下水の観測なので、同じだけの雨が降っても、いつもまったく同じ形で動くわけではありません。
伊豆島田の方が先に動き、小浜池が少し遅れて動くように見えることもあります。また、小浜池は水位が高くなると、同じだけ水が増えても上がり方が小さくなることがあります。小浜池の水位観測の上限は2.17m(217cm)です。これ以上水位が上がっても測ることができないそうです。

このグラフでは、まず全体として

  • 雨の多い時期に地下水位が上がっているか
  • 小浜池と伊豆島田が似たタイミングで上下しているか
  • 最近は水位が増えているのか、減っているのか
  • 年によって高い年・低い年があるか

を見るのがいいと思います。地下水位も1-1のグラフと同様「表示期間」を変更できます。

2-1. 小浜池 年別水位変化パターン

このグラフは、年ごとの小浜池の季節変化を重ねて見たものです。
どの年も1月から12月までを同じ横軸にして並べているので、季節ごとの特徴を比べやすくなっています。

たとえば、

  • どの季節に水位が高くなりやすいか
  • 今年は平年より高めか低めか
  • いつもの年と少し違う動きをしていないか

を見やすくしています。

最近の年が赤く強調されているので、今年の動きが過去(グレーの線)と比べてどうかを見るのに便利です。小浜池は夏ごろに高くなることが多く、その年の雨の多さによってピークの高さが変わります。グレーの線にマウスを当てると、その線が何年のデータかを確認できます。

2-2. 伊豆島田 年別水位変化パターン

これは小浜池と同じように、伊豆島田の地下水位の季節変化を年ごとに重ねたグラフです。
小浜池だけではわかりにくい変化も、上流側の伊豆島田を見ることで、地下水系全体の変動なのか、小浜池の局所的な変化なのかを考えやすくなります。

たとえば、小浜池だけが低いのか、それとも伊豆島田も含めて全体に低いのか、という見方ができます。こうした比較は、何か変化があったかどうかを疑うときにとても大切です。グレーの線にマウスを当てると年を確認できます(2-1と同様)。


– ここから先はちょっとマニアックなグラフです –

3-1. 小浜池水位 vs 伊豆島田水位 XYプロット

時間の流れを横軸に取るのではなく、横軸に伊豆島田浄水場の水位、縦軸に小浜池の水位を取って、2つの関係を直接見たものです。点がきれいに並んでいれば、2つの水位はよく連動していることを意味します。

このグラフでは、小浜池の水位が 0 m を境に、点の並び方が変わるのが特徴です。これは、小浜池の水位が 0 m より低いときは池の底より下にある地下の水を見ており、0 m 以上になると池の水面(水深)を見ているためだと考えられます。地下の水を見ているときは、同じだけ上流側の水位が上がっても小浜池の水位は大きく動きやすくなります。一方、池の水面になってからは、同じだけ水が増えても水面全体に広がるため、水位はそれほど大きくは上がりません。

このグラフでは、

  • 点がふだんの並びから外れていないか
  • 最近の点だけ違う場所に集まっていないか

を見ることができます。「色分け期間」に年月日を入れると、特定の期間の点だけ色を変えて表示することもできます。

3-2. 小浜池 実測値 − 予測値(残差)

3-1のグラフで、伊豆島田の水位と小浜池の水位はとてもよく関係していることがわかりました。つまり、伊豆島田の水位がわかれば、小浜池の水位をある程度予測することができるのです。このグラフは、伊豆島田の水位から予測される小浜池の水位を計算し、その予測値と実際に観測された小浜池の水位との差(残差)を示したものです。

残差 = 実測値 − 予測値

です。

・残差が 0 に近ければ、伊豆島田の水位から見て小浜池はだいたい予想どおりです。
・残差がプラスなら、実際の小浜池は予測より高めです。
・残差がマイナスなら、実際の小浜池は予測より低めです。

このグラフは、「小浜池の水位が高いか低いか」だけでなく、伊豆島田との関係から見て高いか低いかを知るためのものです。
そのため、小浜池の水位だけを見ているよりも、地下水系の中での位置づけがわかりやすくなります。

オレンジ色の線は「90日移動平均」の線です。細かな日々のばらつきをならして、動きの傾向を見やすくするためのものです。これが長くマイナス側に寄ると、上流側の伊豆島田の水位から予想される水位に比べて小浜池が低めに出ている状態が続いている可能性があります。逆に、プラス側に寄っているときは、伊豆島田の水位から予測されるよりも小浜池の水位が高くなっているということです。

4-1. 7日間変化量 XYプロット

水位そのものではなく、1週間でどれだけ水位が増えたか・減ったかを比べたものです。横軸は伊豆島田の7日間変化量、縦軸は小浜池の7日間変化量です。たとえば右上に点があれば、その1週間で両方とも水位が上がっています。

このグラフのよいところは、「今の水位が高いか低いか」ではなく、最近の反応の速さや大きさを見ることができる点です。

グラフ上では、点が2色に自動的に色分けされています。青い点は小浜池の水位が 0 m より低い状態から始まった1週間、オレンジの点は 0 m 以上の状態から始まった1週間を表しています。

ここでも小浜池の状態によって関係が変わります。青い点(0 m 未満)では、伊豆島田の変化に対して小浜池も比較的大きく動きます。一方、オレンジの点(0 m 以上)では、同じだけ伊豆島田が変化しても、小浜池の変化は小さめになります。

つまりこのグラフは、小浜池がどれくらい敏感に反応しているかを見るグラフです。

4-2. 7日間変化量残差(実測 − 予測)

伊豆島田の1週間の変化量から「小浜池なら1週間でこのくらい変わるはず」と見積もった値を作り、その予測と実際の差を示したものです。

残差 = 実測の7日間変化量 − 予測された7日間変化量

・残差が 0 に近ければ、最近の小浜池の反応はふだんどおりです。
・マイナスなら、伊豆島田の水位変化速度に比べて小浜池の反応が鈍いことを意味します。
・プラスなら、予想より大きく反応していることを意味します。

3-2と同様に、90日移動平均の線も表示できます(グラフ右上のチェックボックスで切り替え)。移動平均を見ると、短期的なばらつきを除いた反応の傾向がつかみやすくなります。
もしマイナスが長く続けば、上流側は変化しているのに小浜池はあまり動いていない、ということになります。3-2の残差グラフとあわせて見ると、

  • 小浜池そのものが伊豆島田に比べて高いか低いか(3-2グラフ)
  • 小浜池の反応が伊豆島田に比べて速いか遅いか(4-2グラフ)

を分けて考えることができます。


小浜池の水位 0 m を境に何が変わるのか

小浜池では、水位が 0 m より低いときと、0 m 以上のときで、水位の上がり方が変わります。小浜池における「水位0m」はおおよそ池の底に当たります。つまり、0 m より低いときは池の底より下にある地下の水を見ていて、0 m 以上になると池の水面そのものを見ているということになります。

地下では、水は土や岩のすき間に入っています。このようなすき間の中では、同じだけ水が増えると水位が大きく動きやすくなります。一方、池になると、水は広い水面にたまるので、同じだけ水が増えても水位はそれほど大きくは上がりません

実際に、伊豆島田の地下水位が 1 m 上がったとき、小浜池の水位は、

  • 小浜池の水位が0 m 未満では約 0.84 m 上がる
  • 小浜池の水位が0 m 以上では約 0.25 m しか上がらない

という違いがありました。
このことから、小浜池では、水位 0 m を境に、水のたまり方や動き方が変わっていると考えられます。

もう少し詳しく・・・

「3-1. 小浜池水位 vs 伊豆島田水位 XYプロット」などで小浜池と伊豆島田の水位関係を見ると、小浜池の水位 0 m を境に応答傾向が明瞭に変化します。
回帰の傾きは、小浜池 0 m 未満で約 0.84 m/m、0 m 以上 2.17 m 未満で約 0.25 m/m であり、0 m を超えると伊豆島田に対する小浜池の応答感度が大きく低下します。

この差は、観測対象の物理的意味が 0 m を境に変わるためと解釈できます。
0 m 未満では池底下の地下水位を見ており、帯水層内の有効空隙に対する貯留変化が水位変化として現れます。
一方、0 m 以上では池の自由水面を観測しており、地下水流動に加えて、池としての貯留断面、水面積の変化、流出・浸透などの影響を受けるため、水位応答は鈍くなります。

また、この2つの傾きの比
0.25 / 0.84 ≈ 0.30
は、地下部の有効貯留率あるいは見かけの有効間隙率に相当する量として読むこともできます。
もちろんこれは厳密な間隙率そのものではなく、池の形状変化や流出条件を含んだ見かけの値です。それでも、地下の有効空隙率のオーダーを示す概算値としては興味深いものです。


このダッシュボードを見るときの注意

このダッシュボードは、小浜池と伊豆島田水位から三島の地下水を考えるための手がかりを示すものです。あくまで、公開データをもとにした非公式の解析です。
グラフのずれや残差は、すぐに異常や原因を意味するわけではありません。
雨の降り方、季節変化、観測のばらつき、小浜池の状態の違い、地下水の利用状況などでも見え方は変わります。

したがって、ある1日の値だけで判断するのではなく、

  • しばらく続く傾向かどうか
  • 雨や季節の影響と合っているか
  • 水位そのものと変化量の両方で同じ傾向が出ているか

をあわせて見ることが大切です。自然は時にとても複雑な動きをしますし、三島のような街中の湧水では、人為的な影響も考えられます。

また、小浜池と伊豆島田の水位変化の関係などに関する予測式や考察は、データから見た暫定的なもので、今後修正する可能性があります。ぜひこれらのグラフを見て、三島の地下水がどのようになっているのか、ご自分でも考えてみてください!


※ データは過去7日分までさかのぼって最新のデータを取得しています。そのため、7日前までなら、データが修正されていてもグラフに正しい数値が入るようになっています。一方7日以上経過してからデータが修正された場合、このダッシュボードには修正された数値が反映されません。もしデータの間違いなどにお気づきの方がいらっしゃいましたら、「お問合せ」からご一報ください。

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