三島市立公園 楽寿園の三次元点群データを市に寄贈しました

みてしるのある三島市には、駅前すぐに楽寿園というステキな公園があります。新幹線駅から徒歩すぐにもかかわらず、約1万年前に富士山から流れてきた溶岩と、その上に広がる森や庭園が広がっています。夏場には湧水が池や瀬を満たします。公園の一部には動物園やミニ遊園地もあり、市民や三島を訪れる方の憩いの場になっています。

みてしるでは、さまざまな解析のために計測機器などを用いて対象物の形状を調べたりします。今回、「LiDAR SLAM」という機材のテストを楽寿園で行わせてもらいました。LiDAR SLAMは手に持ったり背中に背負ったりして歩きながら周囲をレーザスキャナで測定できるものです。巨樹・巨木の計測に使ったりしているのと同じ種類の機材です。

今回のテストでは、比較的広い範囲の計測を行ってみたかったので、せっかく測るならステキでいろいろな形のものがある場所がいいなぁと思い、楽寿園に許可をいただき、機材を背負って園内をうろうろさせていただきました。園内の約75,000㎡の範囲を3回に分けて計測し、後でデータを接合して公園全体の三次元点群データとしました。機材のテストとしてはいろいろ課題もわかりましたが、できた点群データは(ちょっと粗いところもありつつ)ちゃんと使えるものですので、せっかくなので活用していただきたく三島市に寄贈いたしました。

7月23日に市役所で市長にデータをお渡しし、ちょっとした解析結果などを報告しました。

こんな感じのデータです↓

楽寿園三次元点群データの様子は今後紹介する予定です。また、データについては三島市がオープンデータとして公開することを検討してくださっていますので、もし公開されたらみなさん使ってみてください。

巨樹・巨木の姿をみる

静岡県にはたくさんの巨樹・巨木があります。高さ数10mにもなる大きな木がご神木として神社にたたずんでいたり、公園で人々の姿を見つめたりしています。一方で、こうした大きな木もやはり姿を変えています。樹木の健全度を把握したり、落木などの事故を事前に防ぐためにも、木の姿をきちんと記録しておく必要があると思います。

静岡県函南町 天地神社の大楠

写真による記録やメジャーによる計測も大切ですが、大きな木だけあって上の方は測ったりするのが大変です。写真も手前の枝や葉にさえぎられて奥にある枝などは捉えられません。

今回はスタッフの練習もかねて手持ちのレーザースキャナーを使って巨樹・巨木の姿をどの程度とらえることができるか試してみました。スキャンさせていただいたのは静岡県函南町の天地神社にある大楠です。

スキャンに先立ち、スキャンデータを既存の地図ときっちりとあわせるための基準点を作ります。今回はRTK-GNSSで6点くらいの基準点を作りました。基準点が設置できたら手持ちのレーザースキャナーを持って、設置した基準点を順番に回るように歩いて回ります。天地神社の大楠は葉っぱも多く高さもあるため、真下からスキャンしても木の最上部までレーザーが届かなそうでした。そのため、てっぺんを見上げられるよう大楠から離れた場所からも狙いました。

レーザースキャンじたいは20分程度で完了しました。できた点群が↑です。大楠だけでなく神社全体をスキャンし、点群を高さで色分けして表示しました。近くにある2階建ての建物や神社の鳥居のサイズと比べると木々の大きさがわかると思います。

神社の参道に沿って断面を作ってみるとこうなります。大楠の高さは約31mくらいで、大きく枝を広げた立派な姿をしていることがわかります。大楠内部の枝の形状もかなりとらえていますが、樹頂付近はさすがに点群が薄くなっています。この大楠のように樹勢がよく葉が多い場合にはドローンを使ったレーザースキャンも併用して上からも計測した方がいいかもしれません。

樹木の点群データ活用や、巨樹・巨木計測に関してはこれからも続けてみようと考えています。


天地神社の場所


大きな地図を表示

webサイト立ち上げ中

仕事の合間にぼちぼち作っていきます。

ヘッダー画像(CHM)

このwebサイトのヘッダーに使っているこの画像は、Virtual Shizuokaの点群データから作った「建物や樹木の高さマップ」です。

色塗りだけではちょっとわかりにくいので、DSMの陰影図を背景に敷いてみます。三島市の駅南エリアで、楽寿園や三嶋大社の高い木がたくさんある森や、駅近くや東海道沿いにビルが多い様子がよくわかります。データにひと手間加えて「見える化」することで今まで気が付かなかったことに気が付くことができるようになるかもしれませんね。

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