3DGSで見る天地神社の大クス

以前の投稿でレーザースキャンの様子を紹介した静岡県函南町の天地神社にある大クス。レーザースキャンと同じ日に撮影しておいた写真を使って3DGSによる3Dシーンを作り、映像にしてみました。

レーザースキャンによる点群は葉に隠れて見えないような枝の形状をとらえたりすることができる一方、世界を点描で表現しますのでやはり実際の見た目とは異なったものになってしまいます。

3DGS(3D Gaussian Splatting)は、複数の写真から実物のような立体映像を再現する技術です。写真から作成した点群をもとに、光の反射や質感を数値的に最適化し、リアルな三次元空間を構築します。樹木の葉や枝の先端などは、3Dモデルや点群では表現が難しかったのですが、3DGSを用いることで自然な見た目の3D映像を作ることができます。

レーザースキャン、フォトグラメトリ、3DGSなどどの技術を使うか、UAVを使うか地上から測るかなどいろいろな選択肢がありますが、目的に応じてよい方法を使い分けるのがよいですね。

弊社では計測・可視化から映像制作各種解析まで対応いたします。お気軽にお問合せ下さい。

熱海来宮神社の大楠

巨樹・巨木シリーズです。

仕事で熱海へ行く用事があったのでお参りをかねて来宮神社の大楠に会ってきました。普段はたくさんの参拝客がいますが、早朝で人がまばらな時間帯だったので、ゆっくりと楠を見学できました。

↓の動画は参拝した後にSLAMで取得した大楠とその周辺の点群データです。大楠以外にもたくさんの木々がありましたので、大楠以外の植物を非表示にして大楠の様子がわかるようにしてみました。動画の最後に大楠の水平断面も入れてあります。

函南町天地神社の大楠を計測した時と違って簡易的な機材を使いました。レーザーの届く距離や、照射できる範囲などが少し劣ります。でも小さな機材で気軽に使えるので、これはこれで便利です。なお、基準点を作ったりしていませんので高さは相対的なもの(計測開始地点における地面の高さが高さ0m)です。

来宮神社大楠 点群断面

木の上の方は機材の性能が高くないことに加えて、レーザーが下層の葉っぱにさえぎられることもあって、ちょっと点群がさみしいですね。ただ、主な枝や幹回りはよく形状をとらえられています。



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巨樹・巨木の姿をみる

静岡県にはたくさんの巨樹・巨木があります。高さ数10mにもなる大きな木がご神木として神社にたたずんでいたり、公園で人々の姿を見つめたりしています。一方で、こうした大きな木もやはり姿を変えています。樹木の健全度を把握したり、落木などの事故を事前に防ぐためにも、木の姿をきちんと記録しておく必要があると思います。

静岡県函南町 天地神社の大楠

写真による記録やメジャーによる計測も大切ですが、大きな木だけあって上の方は測ったりするのが大変です。写真も手前の枝や葉にさえぎられて奥にある枝などは捉えられません。

今回はスタッフの練習もかねて手持ちのレーザースキャナーを使って巨樹・巨木の姿をどの程度とらえることができるか試してみました。スキャンさせていただいたのは静岡県函南町の天地神社にある大楠です。

スキャンに先立ち、スキャンデータを既存の地図ときっちりとあわせるための基準点を作ります。今回はRTK-GNSSで6点くらいの基準点を作りました。基準点が設置できたら手持ちのレーザースキャナーを持って、設置した基準点を順番に回るように歩いて回ります。天地神社の大楠は葉っぱも多く高さもあるため、真下からスキャンしても木の最上部までレーザーが届かなそうでした。そのため、てっぺんを見上げられるよう大楠から離れた場所からも狙いました。

レーザースキャンじたいは20分程度で完了しました。できた点群が↑です。大楠だけでなく神社全体をスキャンし、点群を高さで色分けして表示しました。近くにある2階建ての建物や神社の鳥居のサイズと比べると木々の大きさがわかると思います。

神社の参道に沿って断面を作ってみるとこうなります。大楠の高さは約31mくらいで、大きく枝を広げた立派な姿をしていることがわかります。大楠内部の枝の形状もかなりとらえていますが、樹頂付近はさすがに点群が薄くなっています。この大楠のように樹勢がよく葉が多い場合にはドローンを使ったレーザースキャンも併用して上からも計測した方がいいかもしれません。

樹木の点群データ活用や、巨樹・巨木計測に関してはこれからも続けてみようと考えています。

【追記】天地神社大クスの3DGS映像作りました


天地神社の場所


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