2025年度土砂災害予測に関する研究集会

防災科学技術研究所の「土砂災害予測に関する研究集会」で「災害発生直後の状況把握のためのオープンデータ活用と現場連携」というタイトルで話題提供しました。私含め11名の発表者がいた盛沢山な研究集会でした。大変刺激になりました。

私の話題提供は2021年7月3日に発生した熱海土石流におけるオープンデータを用いた初動時状況把握の事例です。あの災害からもう4年半になりますね。当時はこの会社を作る前でフリーランスで仕事をしていた頃でした。伊豆山は、伊豆山神社をはじめ時折散策していた地域ですし、知人も住んでいた場所でした。土石流の映像をSNSで見たときには衝撃を受けました。いてもたってもいられずすぐに静岡県の点群データをダウンロードして現地の様子を調べたのを覚えています。

その後、個人として情報収集する中で、縁があって「静岡点群サポートチーム」に参加させていただき、災害の状況を把握するための地形解析等を担当しました。静岡県では全国の自治体に先駆けて「VIRTUAL SHIZUOKA」という航空レーザー計測による点群データや空中写真がオープンデータとして整備され、公開されていました。このデータが災害発生直後の状況把握のために役に立ちました。発災直後にはすぐに捜索活動などが始まっていましたので、被災地域の上流で何が起こったのかを把握することは緊急の課題でした。災害が起こる前の状況がアーカイブされているというのは、災害状況を把握するのにたいへん有効です。

「静岡点群サポートチーム」は多様な分野の専門家がほぼ自発的に集まったチームで、情報収集やオープンデータの解析など、災害発生から1週間程度の期間、さまざまな情報を提供しました。こうしたチームが機能したのは、VIRTUAL SHIZUOKAの公開にあわせて行われてきたワークショップなどの平常時の取り組みがあったという事情もあると思います。オープンデータの副次的な効果だったと言えます。普段からどのような人で何が得意なのか知っているというのは有事の連携にも大切ですということで、防災分野ではよく「顔の見える関係」と言ったりしますが、まさにそういうことでした。熱海の場合も、チームで意見交換しながら仕事をしていったことはよかったですし、効率もよかったのだと思います。

当時の解析作業は、今となっては技術的に少し古い内容も含まれますが、災害発生時のオープンデータ活用事例として、研究集会で話題提供しました。また、研究集会のテーマが「DX・生成AI時代に向けた調査・解析技術の現状と課題」ということでしたので、当時、現在のようなAIが使える環境だったらどうだったかという想像も交えてお話させていただきました。災害対応のテクニカルな面や意思決定すべてをAIに依存できるかというと現時点では難しいですし、将来的にもそうすべきでないと考えていますが、技術者・責任者のサポートや効率化には十分使える段階に来ているのではないでしょうか。

被災地ではまだ復旧・復興が進められているところです。来年7月には災害発生から5年がたつことになります。 改めて、この災害でお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

当日使ったスライド(一部差し換えています)を公開します。現在は静岡県だけでなく多くの自治体で点群データがオープンデータとして公開されています。資料が今後の災害対応の参考になれば幸いです。


2021年11月に以下の論文も書きました。合わせてご参照ください。

土砂災害時の点群データ活用と地形画像診断の提案 : 2021年7月熱海土石流災害を例として

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